かんぽ生命の保険の不適切な販売問題を取り上げたNHKの番組に関連して、日本郵政グループは2018年、番組担当者の編集権に関する説明に誤りがあったなどとしてNHKの経営委員会に申し入れを行い、その後、経営委員会は、ガバナンス体制の徹底を求めて当時の上田会長を厳重注意しました。
これについて、大学の名誉教授など110人余りは、詳しい経緯が明らかにされるべきだとして、NHKに当時の経営委員会の議事の内容と録音データなどの全面的な開示を求めるとともに、NHKと経営委員会の森下俊三 委員長に対し賠償を求めました。
20日の判決で東京地方裁判所の大竹敬人 裁判長は「議事録は、すでに開示されているもののほかには存在しないが、録音データが当時あったことに争いはない。これが削除されたことが立証されないかぎり、現時点でも録音データを保有していると認められる」と指摘し、NHKに録音データを開示するよう命じました。
そのうえで「録音データは情報公開の対象に当たり、開示する義務を怠った」などとして、NHKと森下委員長に対して原告1人当たり2万円を支払うよう命じました。
原告側は会見を開き、澤藤大河 弁護士は「画期的な判決だ。NHKと経営委員会が放送の不偏不党と真実、自律の保障などに努力することを求める」と話していました。
森下委員長は「すでに存在しない録音データを交付せよという判決内容であり、遺憾です。直ちに控訴の手続きをとります」とコメントしています。
NHKは「主張が認められず遺憾です。直ちに控訴の手続きをとります」というコメントを出しました。